
EAでポートフォリオを組むときには、分散させてリスク回避するというのは重要な考え方です。複数のEAを使うことになるので、使っているEAが損失ばかりを出していては、資金が少なくなるのみならず、損失が重なれば一気に資金がゼロになる可能性もあります。そのような中でも何を分散させるかというと、1つの考え方が使用する通貨ペアを分散させます。
相場はレンジ相場とトレンド相場の2つある
どのような通貨ペアでも、相場にはトレンド相場かレンジ相場の2つしかありません。そしてトレンド相場には上昇トレンドか下降トレンドかの2つあり、これを含めると3つの相場しかないと言えます。
たとえばポートフォリオを組んだ全てのEAで、1つの通貨ペアしか使用しないとします。そうすると、EAはレンジ相場かトレンド相場に対応してポジションを持ち、利益を狙っていくことになります。このときに、トレンド相場でポジションを持つようなEAは、その通貨ペアのトレンドによって利益か損失が決まり、レンジ相場でポジションを持つEAはその通貨ペアのレンジ相場の動きによって利益か損失が決まります。
つまりは、利益になるにしても、損失になるにしても、それぞれのEAで同じようなポイントで利益を出しやすく、反対に損失も同じようなポイントで出しやすくなるのです。
利益を重ねてくれれば良いですが、損失ばかり続くと、それぞれのEAで損失を出し、一気に資金を失う可能性は高くなります。通貨ペアを分散させるということは、それぞれのEAで損失を重ねないようにするという意味があり、それはリスク分散のためと言えるのです。さらに言えば、それは保有ポジションを分散させるという意味にもなります。
同じような動きをする通貨ペアがある
似たような動きをする通貨ペアもあり、これはFXで色々な通貨ペアを使っていると気がつくかもしれません。 わかりやすいのが、豪ドル/円とNZドル/円でしょう。 これは、豪ドル/円が下がれば、NZドル/円というような同じ動きをすることが多く、チャート曲線を見ても似たような曲線となります。
残念ながらこのような似たような動きをする通貨ペアを使うと、ポートフォリオを組んだとしても、通貨ペアの分散とはなりません。 分散させるには、違う動きのする通貨ペアを使っていかないとなりません。 ただそれぞれの通貨ペアを比べて、同じ動きか違う動きかを探すのは大変です。
そこで役に立つのが相関係数です。 相関係数はマイナス1から1まであり、マイナス1に近いほど逆の動き、1に近いほど同じ動き、0ならば無関係の動きをします。 先ほどの豪ドル/円とNZドル/円は、相関係数が0.94なので、よく似た動きをするということがわかります。
ただ似た動きをする通貨ペアも分散に使うことは可能であり、たとえば豪ドル/円とNZドル/円であれば、どちらかを買いでのトレードに、そしてもう一方を売りでのトレードにすれば正反対となります。
マイナス1に近い通貨ペアとして、ランド円とメキシコペソ円があり、この相関係数は-0.25となります。 このような通貨ペアなら、一方が下がればもう一方が上がることが多いです。
2つの通貨ペアの相関係数を知るならば、証券会社などのサイトに掲載されていますので、それを見て判断すると良いでしょう。 しかし3つ以上の通貨ペアの相関係数を知るとなると、これは自分で計算しないとなりません。 3つの通貨ペアならば1つの通貨ペアを軸として算出するか、3つの通貨ペアを使い、それぞれ計算して算出しないとなりません。
相関係数を使って通貨ペアを分散させてポートフォリオを組むならば、まずは欲張らず2つの通貨ペアで始めるのが良いかもしれません。